戸隠表山廻り隊行動記録




皆様、

戸隠山行ではお世話になりました。重ね重ねお礼申し上げます。
8月4日の戸隠表山廻り隊の行動記録をここに報告致します。この隊は当初4名参加の
予定のところ、13期横山さんらが参加を取りやめられ、2名となりましたが、無事八
方睨みから一不動まで縦走し、下山することができました。

KSTAC 45B 横山雅彦

---- 戸隠表山廻り隊行動記録 ----

参加者:31E 齊藤恵志(リーダー)
    45B 横山雅彦(記録)

コース:戸隠キャンプ場 - 戸隠神社奥社 - 蟻の戸渡り - 八方睨み - 戸隠山 -
一不動避難小屋 - 大洞沢 - 戸隠キャンプ場

記録:

8月4日 曇後雷雨

6:15 キャンプ場発

朝は曇で、戸隠山は雲の中に隠れている。インスタントラーメンを食べた
後、お昼頃には戻れるだろうと予想し、適当に出発。
まず「ささやきの小径」から随神門を目指す。この道は小さな起伏のある
もののほとんど平らなはずだが、植生が途中で変わる。
途中から広葉樹の中に白樺が混ざるようになり、後半は落葉松が目立つ。
随神門からの参道は実に立派な杉並木。このような縦長の視界というのは
不思議な感じがする。「杉の皮をむかないで下さい」という看板があった。
徐々に傾斜が急になり、石段を登って奥社に着く。

7:00 奥社着
7:15 発

奥社には登山相談所ののぼりとテントがあり、人が待機している。ここで
登山カードに記入し、一休みした後出発する。奥社の裏手から尾根にとり
着く道は地図で見た通りの激しい急登である。先に登山カードを書いてい
た二人のパーティーに追い付き、先に行かせてもらう。道は尾根の上に出
るとそれまでよりはゆるやかになるが、それでもどんどん高度を稼ぐ。五
十間長屋の下で、ハーネスをつけ準備をかねて休憩しているパーティーが
あった。我々は百間長屋まで行って小休止とした。

7:50 百間長屋着
8:00 発

ここからいよいよ岩場になる。長屋から出た辺りで、絶壁の途中の穴に祠
があり、そこから鎖が垂れているのというのがあった。(ルートではない)
祠にはきっとお地蔵さんか何かあるのだろう。ここから胸突岩までいくつ
もの鎖場があるが、比較的難しいのは三個所くらいだろうか。試しに蟻の
戸渡りの手前までは鎖を使わずに登ったが、ちゃんと三点支持を守って登
らなくてはならなかった。鎖がなかったら日和田山の最も簡単なルート位
はありそうな気がする。

蟻の戸渡りはそれまでの岩場に比べ、技術よりは度胸という感じである。
上から降りてきた二人のパーティー(親子か?)があったので、少しの間
通過待ちをしたが、彼らは東側の巻き道を使っていた。私はテラスから3m
ほど登った核心部の直前で待っていたが、天気は相変わらず曇で、ひゅー
と風が吹いてなかなか凄惨な雰囲気があった。結局テラスで待っていた齊
藤さんの指示で、我々も巻き道を使うことにした。巻き道といえども、慎
重に進む。巻き道は蟻の戸渡りとほとんど一体である剣の刃渡りの手前で
合流する。剣の刃渡りは、出発前に岩永さんに教わった通り、「剣の刃」
の岩に手をそえながら左側を歩く。困難はない。ここから岩場をもう一登
りすると、八方睨みに着いた。

8:50 八方睨み着
9:05 発

八方睨みでは霧に包まれることはなかったが、周りの山はよく見えなかっ
た。西岳も本院岳の向こうは煙っているし、高妻山はすっぽりと雲の中に
入っていた。天気が良ければゆっくりしていてもいいのだが、風も出てき
たので、出発。一不動まではあっという間かと思ったが、小刻みな登り下
りがどれも急で、それほどすいすいとはいかなかった。

しかし、この辺を歩いていて感心するのは、岩山のてっぺんであるのにも
関わらず、植物の繁茂する勢いの強いことである。もちろんアルプスに比
べれば標高はずっと低いのだが、断崖絶壁の岩の割れ目のようなところに
草が生い茂り、花が無数に咲いている。割れ目から水が浸み出してくるの
であろうか?そうこうしているうちに、前のほうから雷が聞こえるように
なってきた。これは高妻の方は危ないのではないだろうか?とうとう雨も
降り始めた。

10:05 1888m のピーク着・昼食
10:25 発

低木に笹が混じるピークで昼食。雨もひどくなってきたので雨具着用。出
発してしばらくだらだらとした道を行き、その後少し下ると、あっという
間に一不動避難小屋に着いた。中をのぞこうかとも思ったが、入口付近ま
で人がいるようなのでやめ、そのまま下る。(後から聞いた話からすると、
この時蔵野さんらが中にいた可能性もあった。)

不動滝脇のトラバース地点に着く。その直前のわずか 2-3m のクライム
ダウンが、足元が見にくい。なにしろ雨の中なので、慎重に行く。トラバ
ースそのものには、何も困難は感じなかった。しばらく降りると、滑滝の
左岸に鎖がついている地点に着く。傾斜はきつくないが、岩はすっかり濡
れているから、しっかり鎖を使ってゆっくり降りる。

しばらく道は大洞沢の真っただ中で、増水のため完全な沢下りとなってし
まった。おそらく普段はちょろちょろ程度にしか流れていないのであろう。
濁流の徒渉を繰り返すうち、やがて傾斜が緩くなり、道も左岸に登って、
やれやれ、これで後はだらだら歩いていれば帰り着くかと思っていたとこ
ろ、本日の最大の難関が待ち受けていた。

11:40 大洞沢最後の徒渉点、水がひくのを待つ。
13:40 発・大洞沢を徒渉する。

最後の徒渉地点では、その手前で渡った時より川幅は倍以上になっていた。
途中で枝沢の合流もあったので、当然である。足を入れてみると、まずい
きなり膝上まで来る。水は茶色でもちろん底など見えない。三歩目の足の
置き所がなく、それ以上進むと腰まで来そうなのでやめた。場所を変えて
も、水流が強くて危ない。どうしようかと見ているうちにも、水かさは増
し、川の中から、ごんごんと音が聞こえてくる。表面からは見えないが岩
が流されて水の中でぶつかりあっているようだ。地図を見ると、ここさえ
渡れば、すぐそこは牧場である。雨は峠を越し、降ったりやんだりになっ
てきていたので、水が引くのを待つことにした。

しばらくして後から降りてきたパーティーがあったが、川が渡れないのを
見て、なんとそのままやぶのなかを強行突破していった。もっとも、牧場
は川のこちら側(左岸)まで広がっているので、うまくそこに出られれば
帰り着ける公算がある。

我々は岸から少しはなれた所で待機していた。濡れたままだと寒いくらい
で、私はシャツを着替え、昼食の残りを食べていた。齊藤さんが携帯で
連絡を試みるが、逆に 13期の横山さんから電話が入って来た。
「どんぐりハウス」というところで雨宿りをしているそうである。いった
いどこのことであろうか。(後で鏡池のほとりであることがわかりました。)

だいぶ待ったであろうか、岸に戻ってみると、確かに水位は下がっていた。
岩のぶつかる音もやんだようだ。安全のため、もう少し下がらないかと待
っていると、また別のパーティーが下りてきて、渡ってしまった。見ると、
もう膝が出る程度であったので、我々も渡ることにした。水位は下がって
も水流はまだ速かったので、バランスを崩さぬよう慎重に渡り切った。
徒渉点に到着してから、二時間が過ぎていた。

渡り切ると、確かにすぐ牧場であった。雨もほとんどやみ、草をはむ牛の
横を通り過ぎるとほどなくキャンプ場に着いた。

13:55 キャンプ場着

感想と反省:
岩場のほうは、私自身にとっては問題なかったが、予想よりは高度であった。
むしろ久しぶり(十何年かぶり)に岩に手をかけて登るようなことをして楽し
かった。最後に増水した沢を下りたのは、ちょっと山をなめていたかも知れない。
下山路が沢沿いなのはわかっていたことであるはずであった。最後の徒渉点で
待っていたのはともかく、途中鉄砲水のような増水に対応できたかどうか疑問が
残る。

最後に:
短い行程でしたが、自分としてはかなり楽しめたばかりでなく、今まで忘れて
いたことも思い出し、また、新たに学んだ部分も小さくなかったように思います。
事前にアドバイスを下さった岩永様、そして、実際付き合ってくださった齊藤様
本当にどうもありがとうございました。

KSTAC 45B 横山雅彦
***************************************
<感想>31E齊藤
戸隠は学生時代に冬合宿で登って以来です。
やはり奥社から百軒長屋--鎖場--蟻の戸渡り--剣の刃渡り--八方睨--本院岳というルートでした。
ずっとアンザイレンしていたような、、、
鎖が氷で閉じ込められた岩場で、ザックが外れそうになって往生したことを思い出しました。 ナイフエッジは前には気持ちよく通過したと思ったのに今回は意外と緊張しました。これも歳のせいか。
一不動までの稜線を通過中に雨が降り始め、横山君と「さっさと降りてしまおう」と路を急ぎましたが、 澤沿いの下りルートは雨を集めて道だか沢だか判らなくなってきました。兎も角ももうすぐ牧場だと いうところまで来て、思わぬ足止めを喰ってしまいました。渡渉点が増水のため渡れなくなっていたのです。 沢の中で岩がゴロゴロと音を立てており、見ているうちに水流の形が変わっていきます。流れの中で岩が動かされて 水中の地面の形が変わっているようです。もっと下流で渡渉点を探しても良かったのですが、雨もやみ加減だったので、 待つことにしました。2時間くらい行動食を食べたりした後水流も減ったので渡渉してキャンプ場へ戻りました。
甲府の事業所から直接戸隠へ来て、タッと登って降りてなにか神風登山をやったような気分でした。

戻る