Kanchenjunga

23期山田さんのトレッキングレポートです。

(右写真はグンサ-カンバチェン間の山田さん)

23C山田です
掲記の簡単な報告をします。期間は10月4日から11月1日まで約4週間
内歩き始めから歩き終わりまでが6日から25日までの20日間でした。
タプレジュンという飛行機の乗入れる所を起点にカンチェンジュンガ北面の
ベースキャンプとなるパンペマ(5100m)までを往復するもので、企画、交渉
はネパールトレッキング5回目のベテランY氏がやったものに私は便乗したもの
です。 総費用は約50万円弱ですみました。

カンチ周辺はトレッカーの受け入れにおいて他のアンナプルナ、エベレスト周辺
より遅れていて、外人向けロッジ等もなくテント泊になります。我々も客2名に
対しガイド1名、賄い方3名、ポーター5名(途中グンサ3400mで2名は帰す)の
大所帯で昔風の山旅を楽しみました。
カンチェンジュンガトレッキングといっても7−8千米級の山々をまじかに見られる
のは入山後1週間もたってカンバチェン(4100m)に着いてからです。それまでは
誠にアップダウンの激しい道、しかも岩と石、木の根で歩き難い道を毎日毎日
4-5時間も歩き続けます。

但しこのアプローチも新鮮で、下部のV字谷は巨岩累々の大激流、3000m位の
高度には自然庭園と言えるほどの清流と岩と苔、そしてサルオガセが下がった
樹木に満ちた平原あり、上部のU字谷は4000m以下で落葉松の紅葉が照り映える
といった情景にも接します。
住民の生活振りも興味津々ですが、その一端を述べると,高度の高い地域の家々は
石積みと板壁・板屋根でできており、その板はここらで産するヒノキ材が用いられて
いますが、殆どはノコ引きではなく、クサビかナタで断ち割った表面をしています。
始めはノコを使っていないのかと思いました。後でノコ引きも見つけて、聞いてみる
と 広重の浮世絵に出てくるようなスタンドに組んだ2本の丸太の又に大木を立てかけて
2人引きしているような絵を地面に描きます。そもそも電気の無いことを改めて思い
知らされます。 断ち割り法は大きな節のある材には弱いようです。

古く大きな村グンサ(3400m・ヘリでここへ直接入る金持ちもいる)をすぎるといよいよ
カンチ・コンサベーションエリアに入り渓谷と黄葉の美しい中を高度を上げていき、
カンバチェン(4100m)の手前でジャヌー山群をまのあたりにして始めて高山に接する。
そしてローナク(4660m)・パンペマ(5100m)と旅の目的地へ進む。高度障害は心配
はしていたが、ガイドブックの行程以上にゆっくり歩くことで何とか途中退却は避けら
れた。他のグループでは早いペースで歩いて失敗した人やパンペマには泊まらず
ローナクから往復するなどが多かった。  私は脚の筋肉疲労がひどく、脚をあげるのが
ひどくだるくすばやくは動かせないとか、ムクミ、食欲不振などの症状がありましたが、
頭痛は感じませんでした。  このだるさや食欲の問題はグンサに帰り着き1日停滞を
採ってやっと解消しました。

肝心のカンチ周辺の展望は快晴に恵まれ雄大な雪と氷の山々、ヒマラヤ襞、巨大な
氷河、紺碧の空はさすが世界の他所にはない高度がもたらす素晴らしさですが
以前誰かから聞いてひそかにあこがれていた氷がガラスの輝きを持つといった感じ
は全く受けず、ただ5100mまで行って来ただけとの白けた気持ちもあります。
ジャヌー(7710m)は怪峰と言われ特異な形をしていますがどうも気に入りません。
カンチ主峰・ヤルンカンあたりはあまりにだだっ広くてそう迫力を感じません。むしろ
ずっと近く見えるウェッジピーク(6750m)やTwinns(7350m)の方が写真対象にも
なり易いと感じました。

帰りは予定していたミルンギ・ラ(4600M位)行きを疲労を考えて取り止めにし往きと
同じく9日をかけてもとの道を戻った。 あまりにも長い非文明生活に嫌気が出て早く
日本に帰りたいという気持ちや、もうすぐ終わってしまうのが惜しいような気持ちが交錯
し複雑だったが、帰ってきた今は行く前と違って来年も、再来年もネパールトレッキングを
しようという気分にはなれない。行くにしても文明の進んだ所が良い。

トレッカー以外にもカヤックをポーターに担がせて自分たちはオールを持ってタムール川
でラフティングをしようという米国の若者達やマウンテンバイクを飛行機から積み下ろして
いる連中等様々です。カトマンズーの大勢のツーリスト等考えてみると、人はみな程度に
差はあれ冒険心をもっていて,自分にとって未知なるものに挑戦し、触れてみようと
チャンスを作るものだと改めて実感します。

なお我々のガイドを勤めたPHURUBA氏(26才)は今冬福島高湯の安達屋でアルバイト
したそうです。

カンバチェン周辺の写真

パンペマ周辺


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