天狗原から穂高登山
                               23C 山田邦夫

この山行から戻って程なく同期の斉藤君の訃報に接しました。
改めて今回の写真を眺めていると彼も一員だった45年も前の
右俣夏合宿や春の横尾尾根での長期合宿が先日のことの
ように思い出されます。                

待ち望んでいた好天がやってきて、やっと9月18日から21日の4日間
南岳、穂高に行って来ました。         行程は   
18日 上高地から槍沢ロッジ  19日天狗原から南岳    
20日 キレットを越え北穂、涸沢岳、穂高山荘経由で涸沢小屋
21日 横尾ルートで上高地へ           でした。  

快晴というだけでなく、暖かさもあって、夜の星空も長く眺めて
いられました。 南岳小屋では前日出あった九州からのお爺さんと
5歳の孫が私と同じコースで来るといっていたのに、5時過ぎになった
ので心配しましたが、途中遊びすぎたとかで、全く疲れた様子など
なく、元気に小屋に到着しました。               
槍沢ロッジと異なり、南岳小屋はほぼ全天が見渡せます。北斗七星と
カシオペイアの両方が見えて、真中に北極星、それから南に地平線まで
銀河が連なります。 小屋にはオーナーの穂苅康治さんの解放露出で
星が廻っている軌跡を撮った写真が飾ってありました。
夜明け前はシリウスと金星がぎらぎらと輝き眠気など吹き飛びます。

南岳からの北穂の景色は圧倒的です。常念も笠が岳もいや槍ヶ岳さえ
凡庸に見えてしまい、雲の流れやシルエットの具合を写真に収めようと
飽きることなくシャッターを押しました。
20日はキレット越え。前回は友人と二人で通過した9年前です。それからの
体力の衰えを多少心配しましたが、3Hr05Minで北穂の頂上に着きました。
まあいいペースでしょう。続いて名にし負う滝谷の上部通過と云うか
稜線伝いですが涸沢岳までのいやらしいコースを経て穂高山荘着。
ここのテラスで南岳でテント泊まりした若者(キレットの途中で私を
追い越した)が空身で奥穂を往復して来たのに出会いました。
これから涸沢まで下るのだそうです。若さの体力が本当に羨ましい。 

涸沢小屋は6年前に建て替えたようで9年前の時とは模様が変わって
いましたが、大きなテラスは変わりなく、前穂北尾根を眺めながら
日中は酒、夜は星と充分堪能して過ごしました。
21日は金曜で週末客が入山して来て、横尾から上高地の道は結構
人が多い状態でした。
河童橋から岳沢越しの奥穂を撮る写真は往き、帰りとも写しましたが
往きは上空に雲があって空と山のコントラストが弱く帰りに撮った
ものとは比べものになりません。我々のレベルでは腕より何より
天候が左右します。                   
                                       以上