2002年夏 岩手・秋田の山旅 23 M 岩永省吾

2年前に退職した会社の連中に誘われて足掛け8日の、
ちょっとマイナーな岩手・秋田の山と温泉を楽しむつもりだった。
だが、雨に降られなかったのは1日だけという悲惨な結果だった。
宿に着くと衣類を干し、靴に新聞紙を詰め込む毎日が続いた。

● メンバー:岩永(62才)、会社の山友達3人(55才、52才、50才)の合計4人
● 期日:2002年8月10日(土)〜17日(土)
● 山:物見山(871m)、五葉山(1341m)以上岩手県。真昼山(1060m)、太平山(1170m)、
    御岳山(740m)、和賀岳(1440m)以上秋田県。
○ 8月10日(土)、11日(日) 曇り、雨。 −物見山、五葉山−
  21時名古屋近郊の会社発。名古屋ICから東名、中央、長野、上信越、北陸、磐越、
  を通り東北道の水沢ICで下りる。磐越道で夜は明けた。姥石の「道の駅」を左折し、
  キャンプ場を抜ける。ここには「風の又三郎」の像がある。物見山は宮沢 賢治の世界だ。
  牧草を詰めた白い袋が積み重ねられている。サイロの代わりらしい。
  なんと1つ100kg以上もあるとか。散策道を15分も登ると頂上。
  なだらかな山の頂上には意外にも岩がある。曇っていたが牧歌的な広がりが見渡せた。
  次に、赤坂峠に車を置き、五葉山に向かう。登り2時間。標高差630m。
  九合目のシャクナゲ山荘の近くから雨となり、傘をさして登る。日枝神社の奥が頂上だ。
  雨のため、日の出岩往復は断念。シャクナゲ山荘で休み、駐車場へ下る。
  雨の中の着替えにはトイレの庇はありがたい。雨の中、釜石の小川温泉へ。
  雨漏りのする宿だった。ハンガー総動員で濡れた衣類を干す。
○ 8月12日(月) 雨。 −移動−
  雨のため、「遠野物語」の六角牛山(ろっこうしやま)は取り止め。「鉄の館」、「南部曲
  り家」を見学して秋田の横手に移動。今日の宿「奥羽山荘」に早めに入り、乾燥作業
  の続きをやる。古新聞が底をつき宿でもらう。これから毎日この作業が続くとは・…。
○ 8月13日(火) 雨、時々曇り。 −真昼岳−
  標高900mの峰越林道の峠から小雨の中、着替えて登り出す。練馬ナンバーの車の
  人の話しでは、和賀岳への真木渓谷の林道は土砂崩れのため通行止めだとの事。
  1時間強で三輪神社のある頂上に着き、傘をさして休憩。車に戻り和賀岳への林道を
  偵察に行く。ちょうど土砂を取り除いたブルトーザーが下りてくるのに出会い、一安心。
  雨もあがっていたので「払田(ほった)の柵」を見学。平安時代の初期に、北のこの地に
  作られた大きな政庁に感心する。今日と明日の宿は町営の「柵の湯」だ。
  新しく、きれいで、安くて感じがいい。この日も衣類、靴などの乾燥に追われる。
○ 8月14日(水) 雨、時々曇り。 −太平山−
  大曲から秋田中央までは高速に乗り、旭又に車を置く。小雨の中で着替えていると
  役場の人が下りてきて2つ目の橋が流されているから気をつけろとの事。
  今日は標高差約800m、3時間の登りだ。例の橋は橋脚が流されて傾いている。
  板が濡れていて滑りやすいが、既にロープが取りつけてあった。ぶな林を登ると
  御手洗池に着く。ここには菅江真澄の碑が建っていた。
  彼は江戸時代の三河の人で東北、特に秋田をこよなく愛した放浪の民族学者で著作も多い。
  稜線に出て鳥居をくぐると1等三角点のある頂上だ。立派な三吉神社や宿泊所もある。
○ 8月15日(木) 雨。 −半日休養、御岳山−
  半日休養とし、角館へ行く。小雨の中、武家屋敷と花の無い枝垂桜を見る。京都に
  いた公家が来てこの町並みを作ったとか。落ち着いたいい町だ。
  午後から御岳山に登る。林道からの登山口を見つけるのに苦労する。笹が目一杯濡
  れている。標高差100m、1時間ばかりの登りだが雨具をつけていてもびっしょり
  濡れる。頂上には立派な神社がある。式内社(延喜式−927年−に記載してある神
  社)とある。帰りに黒森山にある建物の中で休む。1時間ばかりの間に大雨が降った
  り霧が晴れたりとめまぐるしく天候が変わる。車に戻り、今日の宿、かみおか温泉
  「岳の湯」に向かう。明日は和賀岳、朝が早いので今日のうちに支払いを済ませ、朝
  食のおにぎりを作ってもらう。
○ 8月16日(金) 曇り、小雨。 −和賀岳−
  今日は大きく崩れる事はないとの事で和賀岳に向かう。標高差1060m、実動8時
  間それに移動もあるので4時起床。ラーメンとおにぎりの朝食。真木渓谷の土砂崩
  れの跡はほとんど分からない。小路又の少し上に駐車。甘露水から急登。
  ぶな林が美しい。尾根のすぐ横を沢が流れている。ここにキツリフネの群落があっ
  た。主稜線に出るとすぐ薬師岳。一面の笹原だがガスがかかっている。ここから
  2時間でお花畑の和賀岳に到着。マルバダケフキの花は終わっている。ここの三角
  点も1等だ。同じ道を引き返しす。途中、きのこをザックいっぱい背負い、手にも
  ぶら下げた人を追い越す。
  高速を北上西ICで下りて、今日の宿「夏油(げとう)温泉」へ。大きな温泉だ。
  旅館以外に自炊棟が5棟くらい、露天風呂が5つ、内湯が2つ、洞窟風呂もある。
○ 8月17日(土) 曇り −帰名−
  夏油温泉の近くの牛ヶ岳への登山は取りやめて帰る事にした。奥行き10mくらい
  の真っ暗な洞窟風呂に入る。もちろん混浴だ。結局、この山旅では一度も太陽は見
  なかった。TVによると秋田では8月になってから一度も晴れなかったとのこと。
  9時頃出発し、往きと同じ道を通り若干の渋滞にはあったが、名古屋に22時30分
  に着いた。
  (全行程2460km。6泊8日、費用1人8万円弱。)