秩父 三峰口から熊倉山に向かう聖尾根                24A 吉田

                                                                     2007.06.17

OB総会で、岩永さんから上越国境山行の話を聞いたことや、山本(健)さんが西沢渓谷から徳ちゃん新道経由で甲武信岳へ日帰り山行をすると聞いたことが刺激になりました。

今年は、夏に北海道の山を歩こうと思いつきました。その前に、しばらく軟弱なコースの老人ハイキングばかり付き合って、かなり鈍った体を少しチェックすることにしました。

何年か前に一度歩いたはずの、あまりコースがはっきりしない、通人好みの聖尾根を選びました。秩父鉄道終点の三峰口をスタートしたのが940分、登山口の案内もなく、民家の脇を抜けて沢沿いに、あるかなしかの踏み跡を分け入りました。

県造林の斜面を10分近く歩いたとき、「吉田さん、腿の筋肉が大分衰えましたね。前はそんなにドタバタ音を立てずに歩いていたのに、どうしたのですか?」と久々に同行を承知してくれた相棒から尋ねられました。

70キログラムを目安に抑えていた体重は、昨年8月から豊橋通いをしている間に、ジワジワと増え、今では約4キロオーバーになっていました。

昼は工場の食堂で定食、朝と晩は1人分の食事を作っています。加減しているつもりでもやはり大目に作ってしまうのでしょう。しかも畑の真ん中に建っている共同住宅の6畳一間暮らしです。TV番組はつまらないし、本の拾い読みに倦むと、つい寝酒に手が出てしまいます。この寝る前の一杯二杯が、全く余分なカロリー摂取になって、お腹の脂肪に化けていました。

一方、片道7分の通勤、机に座ったきりで一日を過ごせば、足の筋肉は衰えて当然でした。

入浴時に鏡でチェックすると、膝裏からお尻へかけての腿の裏側が何とも頼りなげになっていました。筋肉は年齢に関係なく、使えば回復すると慰められ、遅ればせながら北海道歩きのために2ヶ月弱の筋力回復プログラムを作るつもりです。

さて話は戻って聖尾根ですが、一度行っているはずなのに、記憶が全くよみがえって来ません。ところどころ岩が出てきて、巻いたものか直登したものかなかなか悩ましい上、急坂続きで、ふくらはぎがパンと張ってくるし、登ったかと思うと急に下って、相当しつこいやせ尾根です。この時期は花も少なく、慰めになるものがありません。

思ったほど捗らないのに、昼時となりやれやれとランチに救われ、消耗感をしばし忘れました。普通は昼食で立ち直るのですが、この日は気温が高く汗をかき過ぎたのか、既に足の疲労がたまり過ぎたのか、簡単には元気が戻りません。

「良い熊除けと思ったのに、ここでお休みとは残念」とやや失礼な発言を残して、40代の変なオジさん風単独行者が追い越して行きました。

一人では心細くなるような難コースと思い始めていたところでしたが、どこにも変わり者がいるのですね。

午後の一本目で少しコースを外してしまい、気がついて登り返すあたりからペースがガクンと落ちました。一人どんどん置いていかれ、情けない次第です。

時計を見ると14時半、ざっと計算するとまだ予定コースの半分ぐらいしか歩いていない、下手するとこれは下山にヘッドランプを出す破目になりそうだと気持ちが萎えました。

体は思うように動かないのに気がせき、喘ぎ喘ぎ歩を進めるうち、手強そうな岩稜に出会って緊張しました。身の軽い相棒はなんと言うこともなく乗り越し、その跡を忠実にたどって越えることが出来たものの、肩で息をする始末、この先にもトラロープに頼るところが何箇所か残っているはずとの前触れに、気の滅入る事甚だしい。

時間を使い過ぎたので、熊倉山のピークを諦めることにしました。こんなにヒイヒイ言ったのは、残雪の毛勝山を登って以来だな、北海道の山でこんなことになったら大変だな、など取り止めのない雑念が湧いては消えて行く中、まずあのコブを越そうと目標を細かく刻んで自分を励ますのですが、足に痙攣の兆候まで出て来ました。

更にペースを落として、騙しだましの我慢行を続けていると、16時を少し回った頃に白久への下山分岐が見えました。自分の限度を知らされた今日は、さらに前進して武州日野へ下る選択肢を諦め、安堵感から一息入れて素直に白久に下りることにしました。

この下山道は、今まで来た薄い踏み跡とは違って、整備されたしっかりした道で、足への負担も少なく、これで足がつる心配も消えました。振り返れば、まばゆい緑の中にマタタビの半白の葉が目につきました。ロングコースの天目山、酉谷山を越えて来たというカメラ器材を背負った人に追い越されたのが、この日山中で出会った二人目でした。

鹿の逃げ足に一度驚かされ、白久の登山口に下りたのが185分前、駅まで20分と案内があり、数少ない電車をキャッチするには、駅まで急げと最後の一汗をかきました。

プラットホームでポケッとしていたら、カラスがアホーと啼いて飛び去りました。

以下帰りの車中で思いついた、今回の反省点です。

@    某氏よりお下がりのほとんど新しい登山靴は、重くて足の疲労を早めたこと
A    筋交い入りタイツに投資しなかったこと(約1万5千円 すぐれ物らしい)
B    腿筋の衰えに対する自覚がなかったこと
C    酒量を抑制せず、減量できていなかったこと

お疲れさま!